相手の気持ちを想像する力が「これはひどい」を止めた

夫に私の初体験を話しました。 - 私も夫も23の結婚1年目の夫婦です。... - Yahoo!知恵袋
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夫に初体験について話したこと自体を責めるのは見当違いだ。

言うべきか言うべきでないか。ガンの告知などと同様の問題があるだろう。知ることで起きる苦しみもあれば知らないことで起きる苦しみ(表面化するかは分からないが)もある。これに関しての言及は避ける。

さて、この問題について質問者は理解していないのだろう。ただ事実として質問者は「言う」という選択肢をとったわけだ。これについて責める人も居るかもしれないが私はそれは間違っていると思う。

おそらく質問者の現在の心境は「言ってしまった」にある。言わなければ問題は起きなかった。そう考えているからこその表題「夫に私の初体験を話しました」がある。それについて「どうすればいいかが分からない」という質問者に対して「これはひどい。なんで言ってしまうかな」といったコメントは見当違いだ。

間違ってはいけない。質問者は「責めてくれ」なんて言っていない。「どうすればいい」と助けを求めている。

では、どうすればいい?

質問者がどうなりたいのかが明示されていないが「性欲をもてあます。上司とまたセックスがしたい」わけではないことは明白だ。きっと夫との関係を初体験について話す前の関係に戻したいのだろう。

考えられる方法は二つだ。質問者を変える。夫を変える。以上。

質問者を変えるというのは早い話が離婚しろということ。夫にこだわらなければいい。夫なんて忘れろ。貞操観念が噛み合わないのだ。無理して合わせる必要もない。離婚すればいい。極端な話をすれば冗談で書いた先の文章のように上司と再婚したっていい。そのときは夫だった男のことを笑って話してやればいい。「ひどく頭の固い男だったのよ。セックスは下手なくせにね」なんてね。それが新たな離婚の原因になるかもしれないが。

それに必ずしも夫の考え方が正しいとは言えない。年の離れた男と関係を持つ妻に落胆する。その男が上司でさらに落胆する。それが普通とは限らない。「それくらいのことも受け入れられない小さな男だ」という考え方は決しておかしくない。

夫を変えるというのは夫に状況を受け入れさせること。「ハゲを受け入れろ!」みたく直球でいけとは言わない。「今はこれからはあなたが一番」という思いを行動で示すわけだ。

行動で示すのは口で言ったところでうまくいくとは思えないからだ。友人に大切なデータを消された上で「気にすんな。あんなデータにこだわるな」なんて言われる場面を想像してほしい。よくて惨殺だ。素直に謝り必死に復元しようと努力してこそ許してやろうかという気持ちになるものだ。

失った信頼を取り戻すのと同じで時間がかかるかもしれない。しかし事実として質問者は夫のことが好きなんだろ。一番なんだろ。関係を修復したいと思っているんだろ。それなら行動を続けられれば夫も変われるかもしれない。

この記事のすごいところは回答者の想像力にある。

ここで言う想像力は「書かれていないことを想像する力」と「相手の気持ちを想像する力」の二つだ。

まず意図してかは分からないが回答者は質問者の望みを叶えている。伝えたのは間違いだとしながらも「どうすればいいのか」を明示している。それも具体的にだ。一つには私の書いたのと同様に「あなたが一番」それを伝えること。それに加えて気にしすぎて体を壊さないことも挙げている。

想像による設定の補完もすごい(良い意味でも悪い意味でもだ)*1。上司は狡猾で下品な男にされている。夫は妻に絶望している。夫の絶望をあらわす心理描写もすごい。「そいつと俺は顔を合わす度に、あいつは俺の妻を知っているぞと思っている」

これらをはっきり伝えた上でどうすればいいかを明示する。

もし質問者の文章だけ読めば「へえ」で終わったかもしれないし「これはひどい」タグをつけて終わったかもしれない。それに回答者が補完を行ったことでこうやって書くだけのものになった。根拠のない断定は気になるが特に迷い悩んでいる人には不安を感じさせないだけの強い姿勢が有効かもしれない。

これは相手の気持ちを想像する力が「これはひどい」を止めたとは言えないだろうか。

*1:ブックマークコメントが回答者の作り出した設定に引っ張られる形になっているくらいだ