『ラッシュライフ』伊坂 幸太郎

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

今日の一冊は『ラッシュライフ』伊坂 幸太郎。随分と前から予約していた本。もう買っても良いかなといったころで、私の順番が来た。『陽気なギャングが地球を回す』『オーデュボンの祈り』『アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』と読んできて、これが五冊目。これまでは「ハズレなし」だったが、これからも「ハズレなし」なのか。

会話の面白さ、読後感の良さが印象的な伊坂幸太郎。本書では、会話はイマイチだったが、読後感に関しては文句なしだ。話の構成としては、別々の登場人物による、別々の話が徐々につながっていくという形。私が過去に読んだ本の中では、佐藤友哉エナメルを塗った魂の比重』が似た構成をとっていたように思う。

会話がイマイチというのは、面白い会話を意識しすぎていると感じたからだ。読む時機の問題かもしれないが、やりすぎていると感じた。いくつかに分かれた話がつながっていく部分に関しては、つながっていくのがぼんやりと見えてはいたけれど、それでもはっきりとつながっていくのは、気持ちが良い。

一回目を読むと、話が断片化されていることもあって読みづらいかもしれない。一度つながったあとに二回目を読むと、違った感想が得られるんじゃないかと思う。元々、時系列で並んでいるわけでもないので、ちょうど表紙のすぐ後に描かれているエッシャーの絵のように、はじめと終わりをつなげても、違和感なく読めるだろう。

税別629円。買っても良かった。

09/26に公開するつもりで書いていたので、「これが五冊目」となっている。実際に公開された順から言えば、『重力ピエロ』の後に『グラスホッパー』が入るので、これは六冊目になる