自分のできないことをできるようにするのは困難だが、自分のできないことを他人に要求するのは容易だ。

自分のできないことが他人の得意なことならそれはそれでいい。問題は自分のできないことが他人にもできないことだった場合だ。激しい口論の末に殺人が起きるかもしれないし、要求された側が胃炎になるかもしれない、場合によってはおれのようにカウンセラーが必要だろう。少なくとも状況が改善されることはないだろう。

改善を望むなら、他人に要求するのでなく自分で動くべきだ。

ここですこし話が変わる。改善が必要でなく、改善の姿勢が必要な場合で考えてみる。すると、人任せにすることは有効だとわかる。

結果から見ると、悪い結果が出ても自分だけのせいではないし、良い結果が出れば自分のおかげでもある。自分で動いた場合に比べてリターンは小さいが、それだけリスクも小さくなるわけだ。姿勢で言えば、人任せとは言え改善したいという気持ちは見える。0か1かで評価されるのであれば人任せは間違いなく1だ。そして人任せは自分で動く場合に比べて格段に楽だ。なんせ人に命令するだけでいい。

この方法はそんなやり方が許されるのはせいぜい中学生までだということで、今年19になるやつがしていいことではないのは明らかだ。おれはそんなやつに改善を要求するつもりはない。食器が割れ、コードがちぎられ、ディスプレイがひきずり落とされるという結果になるのは見えている。

おれなら改善を諦める。