電脳コイルの感想でも書いておくか(ネタバレ注意)

電脳コイル』を見た。全26話。長いね。ちらほらと噂を聞いていたので、そろそろ観ておくか、とそんな流れ。

舞台は202X年の大黒市。電脳メガネが普及している世界。主人公はヤサコ。優しい子と書いてヤサコ。小学6年生。このヤサコが転校してくるところから、はじまる。

子どもたちは、みんなメガネをかけている。メガネをかけていると電脳空間が見える。現実世界の上に完全に被さるように構築された電脳空間。インターネットとは違う。もっと生活に完全に溶けこんでいる空間。主人公をはじめとする登場人物(ほとんどは小学生)は、そこで当然のように遊んでいる。電脳空間のみに存在する「電脳ペット」や、「電脳物質」なども、私を電脳コイルの世界へとぐいぐい引っ張った。

私は特に序盤が好きだ。この何も分からないところに、先にも書いた独特の世界観をガンガンぶつけられる感じだとか、それらを子どもたちが当然のように使って遊ぶ様子だとかが良かった。これらが、すごく良く見えたのには、きっと映像の美しさがあると思う。電脳物質の破損や修復の描写や、しばしば表われるウィンドウ、映像であることが分かるような微妙な粗さをもった電脳ペット、そういった効果や、自然な街の風景など、良いものが多い。

物語は終盤にいくにつれて、序盤の世界感を生かしたものから、伏線の処理へと重点が移ってしまう。序盤に分からなかった部分が明かされていくのは良いが、思い悩むような憂鬱な展開は、小学生という感じがしなくて嫌いだ。序盤の、具体的に言えばフミエが活躍していたころの、回が好きだ。この世界はこういうものだ!と強引に押し付けられ、それを映像の力で引っ張っていかれるような序盤が好きだ。

全体の流れとは関係ない回も好きだ。挙げるなら11話『沈没!大黒市』や13話『最後の首長竜』あたり。

終盤は鬱にさせてくれたり、ムズムズさせてくれたりで、あんまり好きじゃないんだけれども、全体で見れば「かなり良い」と感じた。