『ヒトラーの防具 下巻』帚木 蓬生

ヒトラーの防具(下) (新潮文庫)

ヒトラーの防具(下) (新潮文庫)

今日の一冊は『ヒトラーの防具 下巻』帚木 蓬生。上巻に続けて読む。

ええと、ほとんどの人物が死んだり疎開したりで消えていきます。そして、あのラスト。(ざっくりとネタバレ)

下巻は、ヒトラーの死まで。主人公はほとんどの場面で傍観者だったなあ、というのが感想。主人公が話を動かしていく、という風ではなくて、あくまでも周囲の状況に流され流されで、最後まで行った。その結果、歴史のおさらいをしているような気持ちになった。

見せ場がなかったわけではなく、ヒトラーの前で居合を披露する場面なんかはドキドキしたし、主人公の周囲の人間が死ぬという悲しい場面もあった。

全体として、ドイツの衰退と、主人公の周囲の疲弊がほとんど同時に起きるので、ひどく暗い気持ちになる。ただ、上巻のときから「このドイツ(ナチスドイツ)は違う、このドイツはいくところまでいくんだ」というのが主人公の中にはっきりとあったから、こういう流れは自然に感じられた。というか史実だし。

自分としては、主人公の中にそういう気持ちがずっとあったにもかかわらず、延々と傍観者に徹しているところが、じれったい。もっと、さっとやってぱっと終わるようなものが好きだ。だから、最後で私は「ああ、やっとか」という気持ちになった。

歴史のおさらい。税別743円。上下巻。そこそこ厚かった。