一日一冊『筒井康隆全集 23』筒井 康隆
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1985/02
- メディア: 単行本
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今日の一冊は『筒井康隆全集 23』筒井 康隆。長編1,戯曲1,短篇17,解説1でp350ページ。『虚人たち』を読みたくて借りた。
『虚人たち』はすごい。まず、読点がない。改行もない。びっしりと文字が詰まっている。物語と関係のない描写や、言いかえただけの記述など、恐ろしく不必要な文章がだらだらと続いたかと思うと、なにも書いていないページが続いたりする。なにがなにやら、だ。後からwikipediaで知ったことには、原稿用紙一枚を物語の時間一分に相当するように書いているらしい。
内容で言えば、妻と娘が同時に誘拐されている無理や、登場人物らが、虚構の中に居ることを自覚している点や、小説ならではの現実では不可能な行動をとる点などの、特徴がある。
実験的だかなんだか知らないが、戸惑うことうけあいだ。
面白いかと言えば、面白くなくもないが、とにかく読みにくいので、それ以前の問題。
戯曲ってのをはじめて読んだんだけど、『三月ウサギ』の方が読みやすさもあってか、面白かった。あと『急流』も良かった。
全体的にドタバタと言葉遊びという印象がある。『家族八景』や『ロートレック荘事件』のときには、こんな印象じゃなかったんだけどなあ。定価は1500円らしい。なぜかエンピツ書きで1550円にされているし、ISBNから情報取得できないので、値段はよく分からない。『虚人たち』だけで読めれば良かったなあ、と思う。1380円。