一日一冊『理科系の作文技術』木下是雄

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

今日の一冊は『理科系の作文技術』木下是雄。この本は、ずいぶん前から家にあった。覚えちがいがなければ、高校の頃に買ったはずだ。もちろん、読むのは今回がはじめてではない。途中で挫折してしまう本もあるが、この本は投げずに読み終えたはずだ。

「読み終えた」と言いきらず、「読み終えたはず」としているのは、もちろん、この本で学ぶべき、学んだ内容がちっとも生かされていないからだ。そう、私の文章は、この本で言うところの悪い文章だ。なにしろ、本人が後で読み返しても、意味のわからないことがしばしばあるのだから、どうしようもない。読んだとは思えない、悪い文章で、この感想も書かれているが、許してほしい。

さて、この本の内容だが、題のとおり「理科系の作文技術」だ。理科系(仕事)の文書に求められる、簡潔で誤解を与えない文章の書き方について書かれている。

この本の良い点は、
1)自身の悪い点を気づかせてくれる点、
2)作文における一つの形を示してくれる点
の二点だ。
先にも書いたが、私は、この本を読むたび「自分の文章はダメだな」と思う。言いだせばきりがないが、例えば、書きたいことの定まっていない文章を書いている、などがそうだろう。

情報を正しく伝えるのに適した作文について、確実に記述されている。

この本の悪い点は、
1)例の難しい点と、
2)古い点、
の二点だ。

著者にとって、あれが適切な例なのだろうが、私にはかたい、難しいと感じる。私は、必要以上に本を難しく感じさせているように思う。この本をやさしく言い換えただけとしか思えない本をよく見る。

よくもわるくも古い。この本がはじめて出版された年である1981年は、私の生まれた年より前だ。この本は、私よりも年上だ。OHPという言葉を懐しく感じることさえない。

700円という値段は安い。そんなにかさばるものでもないし、手元に一冊置いておいても良いと思う。