一日一冊『神様ゲーム』麻耶雄嵩

神様ゲーム (ミステリーランド)

神様ゲーム (ミステリーランド)

今日の二冊目は『神様ゲーム麻耶雄嵩。評価が難しい。自分は良いと感じたが、友人はスッキリしないなどと言っていた。良い悪いはともかく、面白い作品だと思う。

読んでいてはじめに気付くことは、その装丁や挿絵から感じる気味の悪さ。主人公の生活は至って自然で、そこに混じった唯一の不自然な存在として描かれる「神様」。猫殺しという事件を通じて、その能力が描かれる。この時点で確信はないが、その絵もあいまって、とにかく不気味な存在という印象を持つ。

第二の事件の事件によって、物語は一気に非日常化していく。事件自体はあっさりと片付けられるが、主人公は納得せず、神様に犯人に天誅を加えてもらう。そこで意外な人が犯人だったことを分かる。驚かされた。その犯人もそうだが、少年少女に読ませるつもりがないのではと思わせる残酷な描写にも驚いた。猫事件でわずかに見えたそれが、今度は人に向けてはっきりとされたからだ。今度は、その人を犯人として事件を見なおしていく。すると、また分からない点が出てくる。主人公は推理から、共犯者が居ることに気付き、神様にまた天誅を頼む。物語は衝撃のラストをむかえる。

猫から人へ、外(他人)から内(仲間)へ、意外な犯人、衝撃のラスト、話のもっていきかたがすごく綺麗だった。猫事件や天誅によって神様を絶対だと印象づけた点や、憧れていた正義の味方に主人公が失望することから最後の天誅に至る点など、全体を通じて理解が容易で、納得できるような展開だった。そこにきて、あのラストだ。衝撃である。なだらかに続いていた物語をぶったぎるようなラスト。読みかえしてみれば、伏線のようなものはないことはないが、ここからラストを推測できるだろうか。友人の「スッキリしない」が納得できる。もちろん後味は最悪である。

だが、それが逆にうまくまとまっているように感じた。それは表紙から感じる不快感、不気味さにしっくりとくるからだ。問題があるとすれば、これが本当にかつて子どもだったあなたと「少年少女のための」ミステリーランドなのかという点だろう。

良かった。