一日一冊『魍魎の匣』京極夏彦

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

今日の一冊は『魍魎の匣京極夏彦。うぶめ(←当然のように変換できない*1。)の夏と同じシリーズ。ずいぶんと前から予約していたのだが、だらだらと二ヶ月ほど待たされた。

はじめ、この本の題を見たとき、魍魎と言えば魑魅魍魎(ちみもうりょう)の魍魎か、と思った。私は魑魅魍魎という言葉をこう記憶していた。「なんだかよくわからないが、ごちゃごちゃとしている化け物」それは大きく間違ってはおらず、結局、魍魎というのは「なんだかよくわからない」それそのものと認識した。

箱、匣、筥、死体、手袋、少女、霊能者、女優、医者、この本の中では、ごちゃごちゃとした、よくわからないものが複雑にもつれあって、きっちり、みっちりと詰まっている。しかし、読んでいくうち、あるところまで、もつれていくばかりだったそれらが、徐々にほぐれていく。最後のページを読み、本を閉じたとき「ああ、魍魎の匣を閉じたんだな」とそんな風に感じた。

*1:姑獲鳥