一日一冊『今夜は眠れない』宮部 みゆき

今夜は眠れない (角川文庫)

今夜は眠れない (角川文庫)

今日の一冊は『今夜は眠れない』宮部 みゆき。電車で4/5ほど読み、残りは家で読んだ。図書館で目についたので借りた。

表紙は、真ん中に月、それを囲むように「今夜は眠れない」「宮部みゆき」と文字が配置されている。タイトル・表紙から受ける印象と、中身がおそろしく違ったように思う。

主人公は中学一年生の僕。僕の視点で描かれる。ごく平凡な感じの家庭。そこに、5億円というお金が謎の人物の遺産として転がりこんできて……と、そんな話。

タイトルのつけかたがイマイチな気がしてる。読みきっても、イマイチなタイトルだなあと思ってしまう。タイトルだけじゃなく表紙も合わさって、悪い感じがしているのかもしれない。そんなに夜をメインにした話じゃない。もっと明るい感じがする。話自体は、別段明るくもないんだけど、主人公が親友や他の登場人物とする会話や、主人公の行動は決して暗くない。それに対して、タイトル・表紙から受ける印象は、もっと静かで暗いものだ。アンマッチだと感じた。

伏線の張り方が強引に思えた。話の筋と明らかに関係ない事象が突然語られるものだから、違和感がある。もしも、これで伏線として生かされなかったら、頭に来る。そんなハードルを上げるような伏線の張り方はどうかなと思う。私は「まさか、あれが伏線だったのか」ってなる伏線のほうが好きだ。

まあ、ハッピーエンドだし、特定の登場人物に対して嫌な感情を抱いたり、ということがないし、無難な話だとは思う。面白くないことはない。

税別514円。どうかなあ。妥当っちゃ妥当。